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韓国政治をダメにした「ファンダム政治」の影… 民主主義の危機か

2025年韓国政治、極端なファンダム文化が支配し、対話と妥協が消えました。理性的討論の代わりに盲目的支持と憎悪が横行する政治現場の実態を診断します。

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公開日 · 16分で読了
街頭でデモを行う群衆の姿
Image: 실제 사진이 아닌 설명을 돕기 위한 이미지입니다.

「ファンダム」に包囲された汝矣島、政党政治の失踪

強硬支持層の政党掌握と多様性毀損

2025年現在、大韓民国国会は巨大両党の強硬支持層、いわゆる「ファンダム」によって徹底的に包囲されました。党員掲示板とSNSは特定政治家を盲目的に擁護したり反対派を悪魔化する掲示物で埋め尽くされており、このような世論は直ちに党論決定過程へ強力な圧力として作用しています。

過去には党内少壮派や非主流の声が多様性を保障する安全弁の役割をしましたが、今は少しでも違う声を出せば「スイカ(表裏がある)」や「裏切り者」と烙印を押され、文字爆弾や後援金返還運動など集団リンチを受けるのが常です。

これにより政党内部の健全な討論機能は麻痺し、ひたすら強硬支持層の好みに合う鮮明性競争だけが乱舞する「単色政党」へと転落してしまいました。多様性が消えた政党は民意のバロメーターではなく、特定勢力の拡声器に転落したという批判を避けられません。

国会議員の所信を折る「座標指定」の恐怖

国会議員たちは憲法機関として国民全体の利益のために良心に従い職務を遂行しなければなりませんが、2025年の現実はファンダムの顔色をうかがうあまり所信を展開しにくい状況です。

特定法案やイシューに対しファンダムの意と異なる意見を表出した瞬間、オンラインコミュニティに身上(個人情報)が公開され「座標」が指定され無差別的な攻撃が始まります。甚だしくは選挙区事務室占拠デモや家族に対する脅迫まではばからない極端な行動が頻繁になり、議員たちは合理的な判断よりはファンダムの怒りを買わない「保身主義」の歩みを選ぶことになります。

これは議会民主主義の本質である対話と妥協を不可能にし、国会を極端な対決の場へと追い込む主たる原因になっています。

中道層の政治嫌悪と無党派層の急増

ファンダム政治が猛威を振るうほど、合理的な中道層と無党派層は政治圏からさらに遠ざかっています。毎日のように繰り返される暴言と怒号、相手を殺してこそ自分が生きるという式の極端な政争に疲れた市民たちは、TVニュースさえ無視しています。

世論調査機関たちの発表を総合すれば2025年無党派層比率は歴代最高水準を記録しており、これは既成政治圏に対する不信が臨界点を超えたことを示唆します。政治効能感を失った市民たちの投票参加率低下は代議民主主義の正当性を弱化させ、結局彼らだけのリーグをさらに強固にする悪循環につながっています。

政治が国民の生活を心配するのではなく、国民が政治を心配しなければならない奇妙な現象が2025年韓国社会の悲しい自画像です。

憎悪と嫌悪のビジネスモデル、政治YouTuber

確証バイアスを食べて育つアルゴリズム

ファンダム政治を宿主として寄生する政治YouTuberたちの影響力は2025年に入りさらに強大になりました。彼らはファクトチェックされていない陰謀論や刺激的なフェイクニュースを生産して再生回数を上げ、スーパーチャットで巨額の収益を創出するビジネスモデルを構築しました。

YouTubeのアルゴリズムは利用者が見たがるコンテンツだけを継続して推薦してくれる「確証バイアス」を強化させ、支持者たちを情報の偏食状態に陥らせます。真実かどうかと関係なく味方が聞きたがる言葉だけを言ってくれるYouTuberたちの言葉は、ファンダムにとってすなわち「聖書」であり「教示」となり、これは政治両極化を煽る最も強力な機制として作動しています。

政治家とYouTuberの危険な共生関係

過去には制度圏メディアが議題設定機能を担当しましたが、今は政治YouTuberたちがその代わりをしています。政治家たちは自身の認知度を高め支持層を結集させるため、有名政治YouTubeチャンネルに出演しようと列をなしています。甚だしくは一部YouTuberたちは公認過程にまで影響力を行使し「キングメーカー」気取りをしたりもします。

政治家がYouTuberの顔色をうかがい、YouTuberは政治家を利用して金を稼ぐこの奇形的な共生関係は、韓国政治を戯画化し低質化させる主犯です。検証されていないYouTuberたちの主張が国会常任委の質疑や代弁人の論評にそのまま引用される寸劇が起きるのも、このような背景のためです。

フェイクニュースの拡散と社会的費用の増加

政治YouTuberたちが広めるフェイクニュースは社会的葛藤を誘発し、莫大な社会的費用を払わせます。特定事件を操作したり歪曲して相手陣営を攻撃する素材にすることが日常茶飯事であり、これを正すためのファクトチェックと解明には途方もない時間と努力が所要されます。

2025年にもディープフェイク技術を悪用した偽映像が選挙情勢を揺るがすなど、技術の発展がむしろ民主主義を脅かす道具として悪用されています。フェイクニュースに騙され街へ飛び出した市民間の物理的衝突や、オンライン上の名誉毀損訴訟戦は私たち社会が耐えなければならない不必要な消耗戦になっています。

対話と妥協が消えた「植物国会」の日常化

法案処理は後回し、政争だけ残った国会

2025年定期国会は「歴代最悪の植物国会」という汚名を着ました。民生法案や経済活性化のための規制改革法案たちは常任委の敷居さえ越えられないまま廃棄される危機に瀕しています。

与野党は互いに向けた特検法発議と弾劾訴追案提出だけに没頭し、国会本来の任務である立法活動は事実上怠業状態です。ファンダムの支持を得るため相手方を悪と規定し、妥協なき闘争を宣言することが「鮮明な政治」として包装され、国会は戦場と変質しました。国民の暮らしの問題を解決すべき国会が政争のブラックホールになってしまった現実に、国民たちの怒りは極に達しています。

国会先進化法の無力化と動物国会の復活

揉み合いを防止し対話と妥協を誘導するために導入された国会先進化法も、ファンダム政治の前では無用の長物です。案件調整委員会など合意のための装置たちは小手先の脱党や会期分割のような便法で無力化され、ファストトラック(迅速処理案件)制度はむしろ政争を加速化させる道具へと転落しました。

2025年国会では揉み合いと怒号、悪口が乱舞する「動物国会」の旧態が生き返りました。ファンダムに「私たちがこれほど熾烈に戦っている」ということを見せるためのパフォーマンス性闘争が日常化し、議会民主主義の品格は底へ墜落しました。

予算案処理遅延と国家運営の支障

国会の職務遺棄は予算案処理過程でも如実に現れました。法定時限を越えることは通常であり、年を越し準予算事態を心配しなければならない状況が繰り返されています。

メモ書き予算や選挙区の手当予算は隠密に合意しながらも、いざ必要な国家R&D予算や福祉予算は政争の人質に取られ削減されたり漂流するのが常です。予算案処理遅延は政府の財政執行計画に支障をきたし、その被害はそのまま国民と企業へ帰ってきます。国家運営の予測可能性を落とす国会の無責任な態度は、国家競争力を削り取る癌的な存在になりました。

陣営論理に閉じ込められた「半分だけの正義」

ネロナムブル(ダブルスタンダード)の日常化と道徳性の崩壊

ファンダム政治の最も大きな害悪の一つは「ネロナムブル(自分がすればロマンス、他人がすれば不倫)」の日常化です。味方の過ちは「そういうこともある」と目をつぶり、相手方の塵のような過ちは「天人共怒の犯罪」として膨らませ攻撃します。

同一の事案に対しても陣営によって正反対の物差しを突きつける二重的な態度は、政治圏の道徳的権威を崩壊させました。ユン・ソクヨル政府捜査論争のように、2025年韓国社会で公正と常識という価値は陣営論理によって徹底的に蹂躙されました。過ちを認めて謝罪する政治家は見当たらず、厚かましく持ちこたえ支持層に悔しさを訴えることが生存戦略になりました。

司法システムの政治化と不信助長

政治的葛藤を政治的に解決できず検察や裁判所へ持っていく「政治の司法化」現象が深化し、司法システムさえも不信の対象になっています。捜査結果や判決が自身の陣営に有利に出れば「正義が勝利した」と歓呼しますが、不利に出れば「政治検察」、「司法壟断(ろうだん)」だとして裁判部を個人攻撃します。

ファンダムたちは裁判所の前で大規模デモを行い判事たちを圧迫し、司法部の独立性を脅かします。法治主義の根幹である司法的判断さえ陣営論理に従い選択的に受容される現実は、民主主義システム自体を脅かす深刻な兆候です。

客観的事実より重要な「陣営の利益」

陣営論理に閉じ込められた社会では客観的な事実(Fact)より陣営の利益が優先視されます。科学的なデータや専門家の見解も味方の主張に符合する時だけ有効であり、そうでなければ「操作された資料」や「御用専門家」として罵倒されます。

福島汚染水放流、医大増員問題など社会的合意が必要な主要イシューたちが科学的・合理的討論の領域ではない、信仰に近い陣営対決へと変質する理由がここにあります。事実が立つ場所を失った社会では正しい政策決定が不可能であり、それによる社会的費用は天文学的な水準に膨れ上がります。

青年政治の失踪と未来世代の疎外

既成政治の引き立て役に転落した青年たち

各政党は選挙シーズンになれば「青年政治」を叫び2030世代を迎え入れますが、選挙が終われば彼らは「使って捨てられる」消耗品扱いになります。

2025年現在、主要政党の青年最高委員や青年代弁人たちは党内既得権勢力の立場を代弁する「オウム」の役割に終わったり、ファンダムの攻撃を受け中途下車する場合が茶飯事です。青年たちの声を代弁し新しいアジェンダを提示すべき青年政治家たちが既成政治の旧態を踏襲したり、ファンダム政治の最前線で「戦士」として消費される現実は、青年たちに深い挫折感を抱かせています。

未来議題(気候、年金、少子化)の失踪

ファンダム政治が当面の政争と過去史論争に埋没している間、大韓民国の未来を決定づける緊急な課題たちは後回しにされました。気候危機対応、年金改革、少子化対策などは陣営を離れ膝を突き合わせて解くべき超党的課題であるにもかかわらず、票の助けにならなかったり葛藤を誘発するという理由で無視されています。

2025年、年金改革議論は依然として足踏み状態で、少子化予算は目の見えない金のように使われています。未来世代の生存がかかった問題たちが既成世代の政治ごっこに犠牲になっているという批判が激しいです。

政治無関心を超えた「政治嫌悪」世代

このような状況で2030世代、さらには10代青少年たちまで政治に対して極度の嫌悪感を表しています。彼らにとって政治は「汚くてうるさいもの」、「私の人生に何の役にも立たないもの」として認識されます。大学街では総学生会選挙が霧散することが頻繁で、オンラインコミュニティでは政治の話自体をタブー視する雰囲気が広がっています。

未来世代が政治を無視し嫌悪するようになれば、健康な民主市民社会の再生産は不可能になります。これは長期的に韓国民主主義の根を腐らせる致命的な脅威です。

ファンダム政治、海外事例との比較

トランピズムと韓国のファンダム政治

韓国のファンダム政治は米国の「トランピズム(Trumpism)」とよく比較されます。ドナルド・トランプ前大統領の熱狂的支持層が見せた議会乱入事態や選挙不服の動きは、ファンダム政治が極端へと突き進んだ時、民主主義がいかに破壊され得るかを見せる生々しい事例です。

韓国もやはり特定政治家をメシアのように崇め奉り、民主的手続きを無視する行態が現れています。ただし、米国は両党制の下でも議会内の牽制と均衡システムがある程度作動する反面、韓国は帝王的統領制と噛み合いファンダムの影響力が国政全般を左右しかねないという点で危険性がより大きいという指摘もあります。

欧州のポピュリズム政党との違い

欧州では極右または極左性向のポピュリズム政党たちが移民者問題や経済危機に入り込み、支持勢力を拡張しています。彼らは主に既成政治圏に対する反感を動力とします。

反面、韓国のファンダム政治は巨大既成政党内部で特定人物を中心に結集するという点で違いがあります。すなわち、韓国は政党自体がファンダム化し「政党の私有化」が進行しているという点が特徴です。これは政党が公的なシステムではなく特定人の親衛部隊のように運営されるようにし、政党民主主義を毀損する結果を生みます。

台湾などアジア諸国の事例

台湾やタイなどアジア国家たちでもソーシャルメディアを基盤としたファンダム政治が浮上しています。台湾の場合、若年層の支持を受ける第3地帯候補が突風を起こしたりもしました。

これは既成両党政治に対する失望感が反映されたものですが、韓国のように極端な憎悪と排除よりは新しい代案を渇望する性格が強いです。韓国のファンダム政治が唯一攻撃的で排他的な様相を帯びるのは、圧縮成長過程で累積された社会的葛藤と勝者独食の政治文化が複合的に作用した結果と解釈されます。

専門家たちが診断する2025年韓国民主主義

「情緒的内戦状態」という警告

政治学者たちと社会学者たちは2025年韓国社会を「事実上の情緒的内戦状態」と診断します。銃剣だけ持たなかっただけで、相手を敵と見なし抹殺しようとする心理状態が内戦水準に至ったということです。スタンフォード大学のシン・ギウク教授は韓国の政治両極化を「毒性両極化(Toxic Polarization)」と規定し、これが民主主義を内部から崩していると警告しました。互いを認めない社会では統合も、発展も期待できません。

ファンダムを超えた「部族主義」の危険性

単純な支持会を超え、自分たちだけの世界観と道徳観を共有し外部と断絶する「政治的部族主義(Political Tribalism)」が強化されています。エイミー・チュア(Amy Chua)イェール大教授が指摘したように、部族本能は集団の結束力を高めますが他集団に対する敵対心を煽ります。韓国の政治ファンダムは今や理性的説得が通じない信仰共同体のように変質し、民主主義の基本前提である「公論の場」を破壊しています。

「制度改善だけでは力不足、政治文化が変わるべき」

多くの専門家たちが選挙制改編や改憲など制度的解決法を提示しますが、ファンダム政治という文化的現象を解決するには力不足だという懐疑論も少なくありません。制度をいくら直してもそれを運用する人々が変わらなければ意味がないということです。

結局政治家自らがファンダムの誘惑を振り払い、勇気ある自浄努力を傾けなければならず、市民たちもまた目覚めた主権者として盲目的支持を収め批判的監視者にならなければならないという原論的な解決法が再び強調されています。

ファンダム政治を超えて統合の道へ

政党民主主義の回復と公認システムの改革

ファンダム政治の弊害を防ぐためには政党民主主義を回復することが急務です。強硬党員たちの声が過大代表されないよう党員投票と一般国民世論調査の比率を合理的に調整し、公認システムを透明かつ公正に改革しなければなりません。

特定派閥やファンダムの影響力から自由な、実力あり道徳的な人材が公認を受けられるシステムが定着してこそ、国会議員たちが「列に並ぶ」政治から抜け出せます。上向式公認と共に現職議員評価結果を公開するなど有権者の知る権利を強化する方案も必要です。

多党制の定着と勝者独食構造の打破

巨大両党の敵対的共生関係を破るためには多党制が定着できる政治環境を作らなければなりません。小選挙区制中心の現行選挙制度は勝者独食構造を強化し、死票を量産し両党制を固着化させます。中大選挙区制導入や比例代表制拡大など選挙制改革を通じて多様な政治勢力が国会に進入し、連立政権と協治が可能な構造を作らなければなりません。

第3地帯の空間が広がってこそ有権者たちの選択権が保障され、極端なファンダム政治の影響力も分散され得ます。

目覚めた市民意識とメディアリテラシー教育

結局政治を変えるのは国民です。有権者たちがファンダム政治の問題点を認識し、嫌悪と憎悪を煽る勢力を投票で審判しなければなりません。

そのためにはフェイクニュースを見分け批判的に情報を受容できる「メディアリテラシー(Media Literacy)」能力を涵養することが重要です。学校教育と市民教育を通じて民主市民としての素養を養い、他人の意見を尊重し討論する文化を定着させなければなりません。ファンダムではない「市民」が主人となる政治、それが2025年大韓民国が進むべき道です。

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ソ・ジェミン

ソ・ジェミン

データ分析を通じて社会現象の裏面を視覚化して伝えます。根拠中心の信頼できる情報を提供します。

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